個人でも気軽に使えるようになったM&A。
すでに月間1,000件以上のスモールM&A案件が市場に出ています。
けれど、案件数が増えた今だからこそ起きているのが──
「どれが自分に合うのか分からず、買ってから後悔する」問題です。
「数字が良かったけど、自分に合わなかった」
「やってみたら想像以上にハードだった」
「思ったより人付き合いが大変だった」
そんな“買った後に気づくズレ”を防ぐには、最初の段階で“自分との相性”を正しく見極めることが最重要です。
この記事では、M&A初心者が「どの事業を買うべきか?」を判断するための5つの視点と具体的なチェック項目を解説します。
なぜ「事業との相性」が買収成功のカギなのか?
M&Aでは、売上や利益など“数字”にばかり目が行きがちですが、
実際の運営で重要なのは──
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どんな人が関わっているか
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どんな業務が日常的に発生するか
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自分の性格・スキル・生活スタイルとマッチするか
です。
たとえ黒字の案件でも、「人付き合いが苦手なのに来店型店舗を買った」など、自分との相性が悪ければ継続は難しくなります。
自分に合う案件を見極める5つの視点
1. 【業務内容との相性】
✔ どんな業務を毎日行うことになるか?
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接客?電話対応?メール返信?配送?現場作業?
✔ 自分が得意 or ストレスになる業務はないか?
例:
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接客が苦手なのに飲食業 → ×
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執筆や調査が得意 → アフィリエイトやWeb系事業が○
2. 【実働時間とライフスタイルの相性】
✔ 週にどれくらいの時間を使えるか?
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副業としての片手間か、フルタイムでやるのか?
✔ 土日稼働必須の事業に対応できるか?
例:
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子育て中で夜は時間がない → 夜営業の飲食業はNG
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本業が忙しい → 外注化されてるWeb事業が相性良
3. 【人との関わり方の相性】
✔ 従業員がいる or 1人で完結できる事業か?
✔ 顧客や取引先との関係性は?
例:
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自分1人で静かに働きたい → アフィリエイト、EC、システム系
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人との関わりが好き → カフェ、塾、サロンなどが向いている
4. 【数字・構造との相性(投資感覚)】
✔ 利益率・キャッシュフローの構造を理解できるか?
✔ “育てる投資”としての視点を持てるか?
例:
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利益率が低く、広告必須 → 継続的にPDCAが必要
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安定収益型(サブスク型)は管理メインでOK
5. 【価値観との相性(“好き”と“信じられる”)】
✔ 事業ドメインが自分の価値観に合うか?
✔ 継続的に携わる覚悟があるか?
例:
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健康志向な人 → 健康食品ECはやりがいも◎
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教育に興味 → 学習塾・教室系は長期的に熱意を持てる
案件を比較検討するときのチェックリスト
観点 | チェック内容 |
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業務内容 | 1日の流れ、1週間のルーティンは? |
実働時間 | 自分の生活と両立できるか? |
利益構造 | 利益率は?広告や人件費は? |
顧客との関係 | 常連中心?新規獲得が必要? |
オーナー依存度 | 自分がいなくても回る仕組みか? |
将来性・改善余地 | 自分ならどこを伸ばせるか?、競合や業界トレンドは? |
案件選びの成功例・失敗例
● 成功例:本業が忙しい会社員が、在宅でできるEC事業を買収
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買収価格:150万円
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商材:受注生産型アクセサリー(外注)
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業務:月5時間程度。広告回しながら月利益10万円前後を安定化
→ 実働が少ないモデルで、自分の生活にフィットしている
● 失敗例:人付き合いが苦手な人が、常連中心のカフェを買収
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買収価格:200万円
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地元で30年続いた店舗
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接客に強い前オーナーから引き継ぎ
→ 顧客との距離感や運営に疲弊し、半年で閉店
よくある質問(Q&A)
Q:数字(利益)が出てれば、相性なんて関係ないのでは?
→ 最初はそう思いがちですが、M&A後はあなたが運営者になるため、合わない業務や価値観だと継続困難になります。
Q:副業でも買える事業ってあるの?
→ はい。ECサイトやWebメディア、外注化されたビジネスなどは**“実働少なめ副業型”案件**として人気です。
Q:案件比較の相談に乗ってくれる人はいる?
→ M&Aアドバイザー、税理士、仲介会社に相談できます。一人で決めず、必ず第三者の目を入れましょう。
まとめ|M&Aで買うべき事業は「数字+相性」で選ぶべき
M&Aで事業を買うとき、数字の良さに目を奪われすぎると、買ってから「これは自分には合わない」と後悔するケースが少なくありません。
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あなたの得意・不得意
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ライフスタイルとの相性
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継続する覚悟と興味の持てる領域か
これらを冷静に判断したうえで、案件を選べば、
**買って良かったと思える“人生を変える選択”**になります。
案件探しは、「就職活動」や「不動産探し」にも似ています。
焦らず、納得できるものをじっくり探していきましょう。