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「職人不足で、自分が現場に出ないと回らない」
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「後継者も社員もいない。このまま閉めるしかないのか?」
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「家族経営でやってきたが、そろそろ限界を感じている」
そんなときに検討したいのが、M&A(事業売却)による引継ぎという選択肢です。
いま、建設・リフォーム業界では、“小さな会社でも技術・顧客・実績ごと引き継ぎたい”というニーズが急増しています。
この記事では、小規模の工務店や個人事業の建築業でも可能なM&A売却の方法・相場・準備・注意点を徹底解説します。
なぜ建設業界でM&Aが増えているのか?
後継者不在 × 人手不足
建設・内装・設備業界は、他業種と比較しても高齢化が深刻です。
経営者の多くが60代以上で、後継者がおらず廃業を検討している工務店は全国に10万社以上あると言われています。
技術・信用・顧客を引き継ぎたいという買い手が存在
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建設業未経験でも独立したい元サラリーマン
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外壁・内装・解体など“ジャンル特化”で事業拡大したい同業者
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地域密着型の職人会社を買って、法人化・多店舗展開したい企業
M&Aで売れる建設業の条件とは?
以下のような要素があると、売却しやすく・高く評価されやすくなります。
評価ポイント | 解説 |
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地域の固定客 | 住宅施工・リフォームなどで毎年依頼がある地元顧客 |
資格保有 | 建設業許可・宅建・一級建築士などの国家資格がある場合、法人にとっては資産 |
工事履歴 | 過去の工事台帳や実績が整理されていると◎ |
社員の技術力 | 職人が継続して勤務予定なら評価が高い |
元請けでの契約実績 | 下請けではなく元請けで契約を取れるノウハウがある |
売却までの流れ(建設業特有のステップあり)
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現状の整理(売上・粗利・契約・保有資格など)
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希望価格・引継ぎ条件の明確化(引退時期、残留希望など)
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買い手候補の選定(事業継承希望者や同業他社)
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面談・交渉・業務フローの説明
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基本合意・法務/税務デューデリジェンス
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譲渡契約・引継ぎ・決済
建設業の売却価格の目安
年間営業利益 | 想定売却価格(相場) |
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約300万円 | 約300〜600万円程度 |
約500万円 | 約500〜1000万円以上 |
※営業利益 × 1〜2倍が基本。ただし、保有資格や顧客基盤によって3倍以上もありえます。
高く売るための準備
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工事実績・顧客リスト・協力会社情報をExcel等で整理
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現場業務のマニュアル化(見積・契約・発注・施工・請求)
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各種許認可や資格の有効期限チェック
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HPやチラシなど販促資料を整えておく
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債務や未処理の請求・契約リスクの洗い出し
売却成功事例
事例①:1人親方が法人化 → 売却で1,000万円
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外壁塗装中心の地域密着型工務店
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職人外注化・SNS集客で毎月10件以上の案件
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自分は引退、取引先・顧客・外注先をすべて譲渡 → 同業者が買収
事例②:社員3名のリフォーム会社を若手経営者に譲渡
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年商3000万円の小規模企業
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営業はすべて紹介・口コミ。経費も最小限
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経営引継ぎ+社員残留+3ヶ月支援条件でスムーズにM&A成立
よくある質問(Q&A)
Q:赤字でも売却できますか?
→ はい。設備・資格・人材・顧客基盤など“将来収益が期待できる資産”がある場合、買い手がつくことがあります。
Q:従業員に知られずに進められますか?
→ はい。基本的に「秘密保持契約(NDA)」を締結したうえで、本人たちには契約直前または後に伝えることが多いです。
Q:どこで買い手を見つけるの?
→ 自社の業界ネットワーク、紹介、士業経由、M&A支援会社の活用など。買い手候補がいる可能性が意外と身近にあります。
Q:売却後は関与しないといけない?
→ 完全引退も可能ですが、1〜3ヶ月ほどの引継ぎ期間を条件にすることで買い手からの信頼も得やすくなります。
まとめ|技術と信頼を“未来に残す”という選択肢を
建設業は「信用」と「人」で成り立っています。
だからこそ、その仕事の価値は会社がなくなっても残り続けるものです。
でも、もしあなたがそろそろ現場を離れたいと考えているのなら、
“誰にも相談できずに辞める”のではなく、
**「自分の技術と顧客を残してくれる人に引き継ぐ」**という形を選びませんか?
M&Aという手段を使えば、あなたが長年築いてきた会社や技術、信頼を、
しっかり次世代に残すことができます。
「もう辞め時かも…」と感じたときこそ、
“引き継ぎの準備”を始めるベストなタイミングです。