2025年4月30日、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)および三菱UFJ銀行は、
インドネシアの連結子会社PT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下、ADMF)と、
同国の大手オートローン会社PT Mandala Multifinance Tbk(以下、MFIN)の合併を発表しました。
今回の合併により、ADMFが存続会社となり、MFINは解散します。
手続きの完了は、インドネシア金融当局(OJK)を含む関係規制当局の承認を経た後に実施される見込みです。
ASEAN地域戦略の一環としての統合
MUFGグループは近年、
ASEAN市場を成長戦略の重要地域と位置づけ、現地金融機関への出資や買収を通じたビジネス基盤の強化を図っています。
特にインドネシア市場では、2023年6月にADMFと共同でMFINを買収するなど、地場金融の深耕に注力してきました。
今回の合併は、その買収後のシナジー最大化を目的としており、
商品ポートフォリオやチャネル網の統合により、ADMFの競争力を一層高める狙いがあります。
ユニバーサルバンキングを支える多様な金融ソリューション
ADMFは、インドネシア全域に広がる営業ネットワークを活かし、四輪車を中心としたオートローンおよび個人向け多目的ローンを提供。
一方のMFINは、銀行サービスを受けられない「Unbanked」および「Underbanked」層に焦点を当てた二輪ローンや小口融資で
強みを持っており、金融包摂(Financial Inclusion)の担い手でもあります。
両社の合併により、上位中間層から低所得層に至るまで、多様な顧客ニーズに応える包括的なサービス展開が可能になります。
加えて、営業・マーケティング体制の統一により、リーチ力とブランド力の強化が期待されます。
現地市場におけるリーダーシップ確立へ
MUFGにとって本件は、単なる事業統合にとどまらず、「地域に根ざした金融インフラの構築」という中長期戦略の布石です。
ADMFを中心とする再編は、東南アジアにおける金融主導権の強化と市場占有率の向上につながるものです。
東南アジアでは、現地大手銀行や中国資本の台頭により、金融サービス競争が激化しています。
こうした中で、日系メガバンクが主導する本格的な統合は、現地市場における存在感を示す象徴的な一手といえるでしょう。