アサヒグループ食品、帝人の機能性素材事業を買収 ― 自社製造体制の確立で乳酸菌ビジネスを加速

2025年4月25日、アサヒグループ食品株式会社(本社:東京都墨田区)は、

帝人株式会社の子会社である株式会社帝人目黒研究所(本社:大阪市)の全株式を取得することで合意し、

株式譲渡契約を締結したと発表しました。

買収手続きは5月1日に完了し、同日より新社名「アサヒ目黒研究所株式会社」として営業を開始します。

乳酸菌事業を軸としたヘルスケア強化戦略の一環

アサヒグループ食品は、独自開発の「L-92乳酸菌」や「CP2305ガゼリ菌」など、

機能性素材を核とした健康志向型食品の開発・販売を展開しており、グループの中でもヘルスケア領域を担う中核事業会社です。

今回のM&Aは、同社の成長戦略において「自社製造体制の確立」が重要テーマであることを示すものです。

これまで他社製造に依存していた一部機能性素材について、

製造拠点とノウハウを一括で取り込むことで、製品供給の安定性と競争力の向上が期待されます。

帝人目黒研究所が持つ技術資産の戦略的価値

帝人目黒研究所は、長年にわたり医薬品や健康食品向けの乳酸菌・納豆菌原料を製造・販売してきた実績があり、

培養技術や生産管理において高い専門性を誇ります。

特に、機能性表示食品やエビデンス重視のプロバイオティクス市場においては、

製造工程の信頼性と一貫管理体制が競争優位に直結します。

今回の買収により、アサヒグループ食品は研究開発から製造、販売までを自社内で完結可能とするサプライチェーンを構築。

商品開発のスピードアップやOEM供給力の向上も見込まれ、BtoB事業にも弾みがつく可能性があります。

国内からグローバル展開への布石

同社はすでにアジアを中心に海外展開を強化しており、

今回の買収はグローバル市場における機能性素材事業のさらなる拡大に向けた布石といえます。

とりわけ、免疫機能や腸内環境の改善といった健康課題に関心が高まる欧米・アジア圏において、

日本発の高品質素材としてのプレゼンスを打ち出す狙いがあるとみられます。

今後の注目点

今後は、「アサヒ目黒研究所」としてグループの研究開発ネットワークとどのように連携し、

どの領域で製品化・展開していくのかが注目されます。

特に、機能性表示食品やサプリメント分野においては新たな素材開発の源泉として、

また、BtoBの受託生産基盤としても機能することが期待されます。