住友商事株式会社(8053)は2025年5月、米州住友商事会社を通じて、
米ミネソタ州に本社を置くActivStyle, LLCを買収し、完全子会社化したと発表しました。
これにより、住友商事グループは米国の在宅医療サービス事業を本格的に拡充する方針です。
ActivStyle社とは
ActivStyle社は、医療保険会社や医療機関と連携し、
失禁ケア用品(おむつ・下着など)を医療保険適用のもとで提供する在宅医療サービス企業です。
対象は主に慢性疾患や高齢者などで、在宅での生活を支援するインフラ的な役割を担っています。
買収の背景 ─ ヘルスケア事業の北米展開を加速
住友商事グループは、2024年4月に米国ヘルスケア市場へ本格参入。
糖尿病患者向け在宅医療用品・サービスを展開するQuest社(米フロリダ州)を傘下に持つVast Medical Holdings社へ出資を行い、
医療コスト分析や在宅ケア分野でのノウハウを導入しました。
業績好調を受け、2025年4月にはVast Medical Holdingsの株式を追加取得。
米国市場でのプレゼンスを高める中、今回のActivStyle社の買収により、取扱保険・製品・患者数のさらなる拡大を狙います。
今後の戦略 ─ 米国→日本・東南アジアへの横展開も視野
住友商事は、これまで日本国内での調剤薬局運営や、
東南アジアでのマネージドケア(包括的医療管理)事業で培った在宅医療・医療費分析のノウハウを米国に持ち込む一方で、
米国で得られた知見やビジネスモデルを、日本およびアジア市場へ横展開していく方針も示しています。
ActivStyle社とQuest社の連携により、医療保険制度下でのシナジー創出が期待され、
最終的には患者のQOL(生活の質)向上および高騰する医療費の抑制という社会的課題にも貢献します。
注目ポイント
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住友商事のヘルスケア戦略における北米進出の第二ステップ
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ActivStyle × Questの事業シナジーによる保険適用サービスの効率化
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日本・東南アジアへの「逆輸入型」ヘルスケアモデルの創出可能性
今回の買収は、商社による医療・ヘルスケア分野への本格投資事例として注目を集めており、
今後の事業スケーリングと他地域への展開動向に目が離せません。