NTT、NTTデータを完全子会社化へ ─ グループ再編でグローバル戦略を加速

日本電信電話株式会社(NTT、証券コード:9432)は、

連結子会社である株式会社NTTデータグループ(9613)を完全子会社化するため、公開買付け(TOB)を実施すると発表しました。

NTTデータグループは本TOBに賛同を表明しており、TOB成立後は上場廃止となる見込みです。

TOBの概要

  • 買付価格:4,000円/株

  • 買付予定株数:592,810,968株

  • 買付期間:2025年5月9日~6月19日(30営業日)

  • 買付代金総額:約2.37兆円

NTTグループ全体のシナジー最大化へ

NTTは本TOBの目的として、NTTデータグループの事業特性を活かしつつ、NTTグループ全体としての戦略的再編を進め、

次の3つの軸での経営シナジーの創出を目指しています。

① グローバル・ソリューション事業への投資拡大

機動的な投資判断を可能とし、急成長する海外市場でのITソリューション強化を推進。

② グループ間連携の強化

NTTデータグループとNTT本体の持つケイパビリティ(技術・人材・顧客基盤)を統合活用し、

クロスセル・ソリューション連携の効率化を図る。

③ 意思決定の迅速化とコスト競争力の向上

上場維持にかかるコストや開示義務を排除することで、経営資源を戦略領域へ集中。

NTTデータグループの今後は?

NTTデータグループは、国内外で高付加価値なITサービスを提供する、日本最大級のSIer(システムインテグレーター)

特に欧米・アジア圏での事業展開が拡大しており、グローバル市場における競争力強化が急務となっています。

NTT本体の傘下に完全統合することで、IT・通信・クラウドの垂直統合が進み、

今後のNTTグループの中核的ICT企業としての役割が一層強化されるとみられます。

注目ポイント

  • 国内M&A市場としても2兆円超の大型案件は極めて稀

  • グローバルIT再編に呼応した、国内大企業の再統合トレンドの象徴

  • 今後の人材・組織・技術の統合マネジメントに業界の注目が集まる

国内IT市場の再編を牽引する一手となる本TOB。

NTTグループの“次の一手”にも引き続き注目です。