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開業したいが、顧客がつくまで時間がかかる
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価格競争が激しいエリアで差別化が難しい
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実務経験はあるけれど、営業や経営に自信がない
そんな士業の方々にいま注目されているのが、既存の士業事務所をM&Aで“買収して引き継ぐ”という方法です。
士業業界では高齢化が進み、**「事務所を閉じたいが、顧客を残したい」「引退前に譲りたい」**という先生が全国的に増えています。
ゼロから開業するより、既存の顧客・スタッフ・仕組みを丸ごと引き継いだ方が、遥かにスムーズに“士業経営”を始められるのです。
▼ 士業M&Aとは?どんなものが買えるのか?
◆ 対象となる士業
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税理士事務所
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社会保険労務士事務所(社労士)
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行政書士事務所
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司法書士事務所
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弁理士/中小企業診断士など
※中でも多いのは「顧問契約を安定的に抱える税理士・社労士事務所」です。
◆ M&Aで引き継げるもの
引き継げる資産 | 内容 |
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顧問契約 | 月額固定の中小企業顧客、年末調整や給与計算などの請負案件 |
従業員 | 記帳・申告・労務処理などの実務スタッフ(パート含む) |
ソフト・ツール | 弥生、freee、MFクラウド、社労夢、ジョブカンなどの運用 |
事務所・備品 | 賃貸事務所、レイアウト、データサーバー、電話番号など |
業務フロー | 業務手順書、顧客対応ルールなどが残っているケースも多数 |
▼ なぜ今「士業を買う」人が増えているのか?
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顧客ゼロからの独立は時間がかかる
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紹介だけで営業を伸ばすのは非効率
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短期間で「軌道に乗せる」には既存基盤を活かした方が早い
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売り手の多くが「信頼できる人に顧客を任せたい」と考えている
つまり、士業の買収は“安定収入を得ながら独立する”ための有効な戦略になっています。
▼ 士業事務所の買収価格の目安
年間売上 | 想定買収価格 | 備考 |
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〜1000万円 | 約200万〜400万円 | 顧問数10〜30社規模、小規模事務所 |
1000〜3000万円 | 約500万〜1500万円 | スタッフ数名、複数士業対応可 |
3000万円以上 | 1500万〜3000万円超 | 相続・資産税・助成金等の専門特化型あり |
※顧問料収入 × 1〜1.5年分程度が相場。ただし、スタッフや拠点付きなら+α。
▼ 士業事務所を買うメリット
メリット | 解説 |
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顧問契約がすでにある | 毎月の売上見通しが立ち、資金繰りの不安が減る |
実務経験がすぐに活かせる | フロー・システム・人材があるため即業務可能 |
顧客との関係性も継続可能 | 売り手の信頼がある状態で紹介される |
地域密着の信頼を受け継げる | 特に地方では「名前で続ける」ことも可能 |
サブ業務との連携も可能 | コンサルや経理代行、法人成り支援なども展開しやすい |
▼ 買収の流れと準備
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希望業種・エリア・売上規模を明確にする
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M&Aアドバイザーや業界ネットワークで案件を探す
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秘密保持契約(NDA)締結 → 財務・業務内容の確認(DD)
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面談・条件交渉(引継ぎ内容、契約形態)
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譲渡契約の締結 → 引継ぎ期間を経て運営開始
▼ 買収時の注意点
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引継ぎ時の“顧問離れ”リスク:売り手と共同訪問・挨拶が大切
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顧客情報や契約書の整備状況をチェック
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クラウドツール・業務フローが属人的でないか確認
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売り手が「完全引退型」なのか「支援あり型」なのか確認
▼ 成功事例
● 事例①:税理士事務所を買収し、独立スタートに成功
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年商1200万円規模、顧問契約20社
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契約書・業務マニュアル・スタッフ2名込みで引継ぎ
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譲渡価格600万円。買収6ヶ月後に顧問追加10社獲得
● 事例②:社労士事務所を買収 → Web集客で拡大
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顧問契約14社の社労士事務所を買収(300万円)
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就業規則や助成金対応のテンプレ付き
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自社でLP+広告展開し、1年後に顧問数を倍増
▼ よくある質問(Q&A)
Q:買収後、士業登録はどうなる?
→ 資格保持者が必要です(税理士なら税理士資格/社労士も同様)。法人登記や名義変更が必要なケースもあります。
Q:士業未経験でも買えますか?
→ 自身に資格がない場合は、資格者を雇用または提携する必要があります。
Q:売り手との関係はどれくらい続く?
→ 1〜3ヶ月程度の引継ぎ期間が一般的ですが、長期顧問として残る例もあります。
▼ まとめ|士業事務所は“買って始める時代”に
開業・独立といえば「ゼロから始める」が常識でした。
でも、いまは**“信頼と実績がある事務所を引き継いでスタートする”**という選択肢があります。
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最短で収益を上げたい
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顧客対応をすぐに始めたい
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士業経営を本気でやっていきたい
そんなあなたに、士業事務所の買収は現実的で、堅実な一歩になります。