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子どもは会社を継がない
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社員にも後継候補がいない
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体力的にもそろそろ限界だけど、廃業は忍びない
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長年取引してきたお客様や社員の顔を思うと、簡単には決断できない
そんな経営者が、いま静かに選び始めているのが、“会社を第三者に引き継ぐM&A”という方法です。
「会社を売る」と聞くと、ネガティブな印象を持たれる方もいます。
しかし実際には、「感謝されて会社を譲る」成功事例が急増しています。
この記事では、後継者に困っている中小企業オーナー向けに、**M&Aの基本知識と“会社を未来につなぐための選択肢”**をわかりやすく解説します。
▼ 「廃業」ではなく「承継」という選択肢
● 黒字でも、後継者がいなければ廃業?
中小企業白書(2024年)によると、黒字廃業は年間3万件以上。
売上があっても、「後継者がいない」「体力が持たない」という理由で店じまいするケースが後を絶ちません。
しかしそれは本当に“最良の終わり方”でしょうか?
● M&Aは「会社の存続」手段
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顧客・社員・仕入れ先との関係をそのまま残せる
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オーナー自身も、譲渡益を得て次の人生に進める
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一定期間引き継ぎ支援をしながら、フェードアウトも可能
M&Aは単なる「売買」ではなく、**“責任あるバトンタッチ”**です。
▼ M&Aの仕組み(会社を譲るとはどういうことか)
譲渡方法 | 内容 |
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株式譲渡 | 株式を買い手に渡して経営権を移す(法人まるごと) |
事業譲渡 | 一部事業・資産のみを引き継ぐ(部門や店舗単位) |
会社分割 | 事業部を分けて別法人化 → 売却 |
中小企業の場合、「株式譲渡」が最も一般的です。
▼ M&Aの進め方(経営者が知っておくべきステップ)
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まずは現状把握(売上・利益・契約・資産など)
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譲渡を検討する理由の整理(引退?資金化?体制変更?)
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M&A仲介会社・士業など信頼できる支援者を探す
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秘密保持契約を結び、買い手候補へ情報開示
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条件交渉・合意 → 契約 → 引き継ぎ支援
▼ M&Aのメリットと、後悔しないための条件整理
◉ 経営者にとってのメリット
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廃業と比べて金銭的・心理的損失が少ない
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「会社を残せた」という満足感
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社員や顧客を守れる
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遺産相続や争族リスクを減らせる
◉ 後悔しないためのチェック項目
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顧客リスト、業務内容、契約書などの“可視化”は進んでいるか?
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従業員に“自分がいなくても回る”状態が整っているか?
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財務・税務上の懸念(借入、未払、棚卸など)はないか?
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将来のビジョンを買い手と共有できるか?
▼ 実際にあった「会社を譲った経営者」の声
60代:製造業オーナー
「廃業の覚悟をしていたが、社員の家族のことを考えるとつらかった。
M&Aで若い経営者に引き継げたことで、“この会社はまだ続く”という安心感が得られた。」
50代:サービス業オーナー
「ゼロから築いた事業を、お金ではなく“想い”ごと引き継いでもらえた。
引き継ぎ後はアドバイザーとして関わりつつ、セカンドキャリアも始められた。」
▼ よくある質問(Q&A)
Q:従業員や顧客には、いつ知らせるべき?
→ 通常は契約締結直前。情報流出や混乱を避けるため、慎重に進めます。
Q:どこに相談すればいい?
→ 地域の商工会議所、M&A仲介会社、税理士、事業承継支援センターなどが窓口になります。
Q:自社は小さいが、本当に売れる?
→ 年商1000万円以下の事業でも、顧客・ノウハウ・立地・スタッフが評価されることがあります。
Q:赤字でもM&Aできる?
→ はい。特に人材・契約・ブランド・拠点・仕組みなどが魅力であれば、買い手がつくこともあります。
▼ まとめ|「会社をたたむ」前に、「誰かに引き継ぐ」という選択を
事業をやめることは、人生の大きな決断です。
でも、やめること=すべてを終わらせることではありません。
「会社を残す」
「社員を守る」
「取引先との関係をつなぐ」
それを叶える方法が、M&Aです。
大切なのは、“想い”を“仕組み”に変えて、次の人に託せる準備をすること。
あなたが築いてきた会社は、きっと誰かのスタート地点になるはずです。