【買収成立】日本製鉄、米USスチールを142億ドルで完全子会社化

国家安全保障協定を締結し、日米鉄鋼連携の象徴に

2025年6月19日発表

日本製鉄株式会社(5401)は、

米国の大手鉄鋼メーカー United States Steel Corporation(USスチール)発行済株式100%(2億2657万6075株)を取得し、

完全子会社化したと発表した。買収金額は約142億ドル(約2兆2000億円)

本買収は、日本製鉄の米国法人である Nippon Steel North America, Inc. を通じて実施された。

米政府との国家安全保障協定も締結

両社は、米国政府との国家安全保障協定(National Security Agreement) を締結し、

USスチールが米政府に“黄金株(Golden Share)”を1株発行することで合意。
これは、国家安全保障に関わる重要企業の外国資本による買収に対する防衛策として位置づけられるもので、

今回のM&Aが政治的・経済的安定性を確保したかたちで成立したことを意味する。

USスチールとは?

USスチール(本社:ペンシルベニア州ピッツバーグ)は、

1901年設立の米国を代表する鉄鋼メーカーであり、北米に複数の製造・加工拠点を保有する。

買収の目的と意義

  • 米国鉄鋼業における設備投資の加速
     ⇒ USスチールの全製造拠点で、大規模な近代化・設備投資を実施予定。

  • 日米鉄鋼連携によるグローバル競争力強化
     ⇒ 生産・物流・販売体制の最適化と供給安定性の向上。

  • 雇用創出
     ⇒ 米国における10万人超の雇用維持・創出を見込む。

  • 脱炭素・グリーン製鉄への布石
     ⇒ 今後、環境配慮型の電炉や水素還元製鉄などへの投資拡大も視野に。

編集部コメント

「単なる買収にとどまらず、“米国政府公認”の国家安全保障協定を伴う形での完全子会社化は、地政学的・経済的な観点からも重要な意味を持つ。今後、日本製鉄が世界の鉄鋼業界において、“製造×エネルギー×地政学”を巻き込んだ新たなリーダーシップを発揮する起点となるだろう。」