廃業せずに事業を手放す方法|M&Aによる“撤退”戦略

長年続けてきた事業。しかし今、こんな気持ちを抱えていませんか?

  • 「売上が落ちているし、続けるのがしんどい」

  • 「後継者もいない。自分の代で終わりかな…」

  • 「でも、いきなり廃業したら社員や顧客に迷惑が…」

多くの中小企業経営者にとって、「廃業=逃げ・損切り」と見られがちですが、今の時代、“価値ある事業”として引き継がせるという選択肢があることをご存じでしょうか。

それが「M&Aによる撤退戦略」です。

この記事では、廃業を考える前に知っておくべき事業譲渡というもう一つの道=M&Aで“引き継いで終わる”という選択肢を、実例や手順と共に丁寧に解説します。


廃業とM&Aの違い|「終わらせ方」で失うものが違う

比較項目 廃業 M&A(売却)
顧客との関係 一方的に終了 買い手に引き継げる
従業員 退職させる必要あり 引継ぎ次第で継続雇用可能
借入・債務 返済・精算が必要 売却条件次第で承継できる場合も
取引先・信用 信頼関係を失う 継続性を保てる
自分の利益 清算後、残れば少額 売却益を得られる可能性あり

M&Aは“撤退のための攻めの戦略”

事業をやめたい理由は人それぞれ。

  • 社長の高齢・病気

  • 人材不足・後継者不在

  • 収益性の低下

  • モチベーションの喪失

  • 他事業に集中したい など

でも“やめたい”という気持ちは、ネガティブではありません。

むしろ、会社がきちんと機能しているうちに責任をもって引き継ぐための「出口戦略」こそが、現代の経営判断です。


こんなケースでも売却できた!M&A成功事例

事例①:売上減少中の店舗を“立地価値”で売却

  • 業種:カフェ(家族経営)

  • 状況:コロナ禍で来客減少、後継者なし

  • 売却額:約300万円(店舗内装+営業権)

  • 買い手:若手女性起業家がリブランディングし、再生成功

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事例②:年商5,000万円の製造業を従業員ごと引継ぎ

  • 業種:精密部品加工業

  • 状況:70代の社長が体調を崩し、事業継続に不安

  • 売却額:非公開(営業利益2年分相当)

  • 結果:従業員全員が継続雇用、技術と取引先も引継ぎに成功


売却準備でやるべきこと

① 財務・税務の整理

→ 粗利率、損益分岐点、人件費バランスなどが見られます。

② “売れる要素”の棚卸し

→ 取引先、独自ノウハウ、スタッフ、地理的優位性など。

③ 会社・事業の見える化

→ 数値だけでなく、現場の運用・社内マニュアルなども資産。

④ 専門家への相談

→ 税理士・社労士・M&A仲介など、信頼できるパートナーを。


M&Aの流れ(小規模事業の場合)

  1. 相談・目的整理(廃業?売却?部分譲渡?)

  2. 買い手探し(M&A仲介・マッチングサイト)

  3. 秘密保持契約の締結・条件提示

  4. 基本合意 → デューデリジェンス(調査)

  5. 最終契約・引継ぎ開始

  6. 自分は“勇退”という形で撤退へ


よくある不安とその答え

Q:赤字でも売れますか?
→ 売れます。赤字でも「固定客・立地・設備・ノウハウ」に価値があれば買い手はいます。

Q:従業員のことが心配です
→ 契約内容次第で引継ぎ可能。誠実な買い手であれば、雇用維持を重視してくれるケースが多いです。

Q:身内や社員に売らないとダメですか?
→ いいえ。外部に売却しても問題ありません。むしろ客観的に見て“価値”を認めてもらえる可能性もあります。


まとめ|「引退」と「廃業」は違う。“価値”は誰かが引き継げる

経営をやめるという選択肢は、逃げではありません。
むしろ、適切な引き継ぎを行うことで、事業は生き続け、従業員も守られ、あなた自身も報われる可能性があるのです。

「もう無理だ」と思ったそのタイミングが、第二の経営判断=M&Aによる撤退戦略を考える最高の瞬間かもしれません。

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