「会社を辞めて独立したい。でも、起業はリスクが高そう…」
「いつかは社長になりたい。でも自分にはアイデアも資金もない…」
そんな風に感じたことがあるビジネスパーソンは少なくありません。
そんな中、近年注目されているのが「スモールM&A(小規模事業の買収)」による独立です。
スモールM&Aとは、年商数百万円〜数千万円規模の小規模事業を個人や小さな法人が買収することで、既に収益が出ている事業を引き継いで独立する方法です。
本記事では、サラリーマンが会社を辞めて**“経営者になるまでのリアルなステップ”**を、「スモールM&A」という選択肢を軸に、わかりやすく解説します。
なぜ今、“スモールM&A”での独立が注目されているのか?
以下のような理由で、いまスモールM&Aによる独立を選ぶ人が急増しています。
起業リスクを減らせる
既に売上・顧客・仕組みのある事業を引き継ぐため、ゼロから立ち上げるより安定性が高い。
独立までのスピードが早い
起業準備に1〜2年かけるよりも、M&A後すぐに収益化しやすい。
アイデアがなくてもOK
「事業の種」は既にあるため、アイデアや商品開発が不要。
銀行融資が通りやすい
売上のある事業を買うなら、金融機関も判断しやすい。
スモールM&Aで実際に買えるビジネスの例
業種例 | 想定売上 | 売却価格帯 | 特徴 |
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ECサイト(物販) | 年商500万円 | 150万円〜 | 商品と顧客リストごと引き継ぎ |
サロン・整体店 | 年商700万円 | 300万円〜 | 常連顧客付きで引き継げる |
飲食店(1店舗) | 年商1,200万円 | 400万円〜 | 立地・設備に価値あり |
放課後等デイサービス | 年商2,000万円 | 800万円〜 | 許認可付き、補助金もあり |
サブスク型アプリ | 月商30万円 | 100万円〜 | 小規模でも利益率が高い |
サラリーマンがスモールM&Aで独立する5つのステップ
① 自分の「軸」と「制約」を明確にする
まずは以下の項目を整理しておきましょう。
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どんな働き方をしたいか?(現場型/経営型/副業型)
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資金はいくらまで使えるか?(自己資金/借入の有無)
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エリアの制約はあるか?(自宅近く/全国どこでもOK)
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得意分野・人脈・資格などの強みは?
この整理が、買収対象の選定軸になります。
② M&A案件を探す(マッチングサービスや仲介会社を活用)
案件を探すには、以下のような手段があります。
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スモールM&Aのプラットフォーム(例:トランビ、バトンズ など)
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仲介会社・M&Aアドバイザーへの相談
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知人や地元のネットワークを通じた紹介
案件の探し方ひとつで、成否が分かれると言っても過言ではありません。
③ 候補案件の比較・分析を行う
以下のような視点で事業内容を見ていきましょう。
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利益構造(収益モデル・原価・固定費)
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顧客構成・継続率(リピート型か)
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従業員の有無・引き継ぎ体制
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代表がいなくなっても運営できるか?(属人性の有無)
ポイントは、「あなたでも回せるか?」です。
④ 資金計画・調達(自己資金 or 融資)
想定される資金計画:
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買収費用
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引き継ぎ後の運転資金
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売上が安定するまでの生活費
自己資金だけで買える案件も多くありますが、日本政策金融公庫の創業融資や、信用金庫の小規模融資枠なども有効です。
⑤ 契約・引き継ぎ・運営開始
最終的には以下の流れになります。
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秘密保持契約(NDA)
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基本合意書の締結(LOI)
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デューデリジェンス(事業調査)
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最終契約書締結(譲渡契約)
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引継ぎ・運営スタート
最初は戸惑うことも多いですが、引き継ぎ期間があるため、前経営者にサポートしてもらえることも一般的です。
▼ 実際に独立した人の声(一例)
「副業から小規模ECサイトを買収し、月10万円の利益を得て独立に踏み切れました」
(30代男性/元メーカー営業)
「介護事業所をM&Aで買い、前職の福祉経験を活かしてスムーズに軌道に乗せられた」
(40代女性/元NPO職員)
「飲食業を引き継ぎたかったが、最終的には地元の整体院を買って地域密着型で独立」
(50代男性/元外食企業マネージャー)
よくある質問と注意点
Q. M&Aって法人じゃないとできない?
→ いいえ。個人でも契約できます。法人化は買収後でもOK。
Q. 赤字の会社は買ってはいけない?
→ 赤字でも、原因が明確であれば再建可能な場合もあります。
Q. 借金ごと引き継ぐの?
→ 通常は“債務なしの事業譲渡”が多いです。事前に契約で調整可能。
Q. 詐欺やトラブルのリスクは?
→ 仲介業者を通し、デューデリジェンスを行えばリスクは低下します。
まとめ|“起業”ではなく“買って始める”という賢い選択
サラリーマンから経営者へ――その道は、ゼロからのスタートだけではありません。
すでに形がある事業を買って始める「スモールM&A」は、起業のリスクを抑え、安定したキャリアチェンジを実現する現実的な選択肢です。
時間・労力・資金を抑えて、“経営者としての人生”をスタートさせるなら、まずは事業を“探す”ことから始めてみてください。