ツナググループHD、子会社から中核事業を逆吸収

~人材・BPOの“直接保有”で、持株会社から実動経営へシフト~

ツナググループ・ホールディングス(6551)は7月31日、完全子会社のツナググループ・コンサルティングが展開する「人材支援サービス」と「コールセンター事業」を吸収分割方式で承継することを発表した。実行は2025年10月1日予定。


■ 経営効率と収益直結の構造改革

今回の再編は、いわゆる「持株会社→事業持株会社」への転換。
承継対象となるのは、グループ内で収益を牽引してきた:

  • 常用型派遣を含む人材支援サービス

  • BPO型のコールセンター事業

いずれも労働市場やデジタル化の潮流を受けて成長性が高く、
ツナググループHDが“収益源を自社本体に直接取り込む”ことで、迅速な意思決定・経営資源の集中を狙う動きといえる。


■ 背景:人材サービスの“構造変革”への対応

昨今の人材サービス業界は、以下のような転換期を迎えている:

  • 働き手の質的変化(副業・フリーランス増)

  • 人材確保競争の激化

  • クライアントの採用ニーズの短サイクル化

  • コールセンター事業における生成AIの浸透

こうした環境下では、「グループ子会社としての間接経営」ではスピード感を欠き、クライアントへの対応が後手に回るリスクがある。今回の吸収は、その根本的な課題に対する“構造的な解答”といえるだろう。


■ 編集部コメント:これは“選択と集中”のモデルケース

事業会社が持株会社の子会社へ事業を「切り出す」再編はよくあるが、今回のように本体が稼ぐ機能を自ら再取得する逆方向のM&Aは、国内上場企業では稀なケース。

この再編によって期待される効果は主に3つ:

  1. 事業意思決定の短縮化
     →クライアント対応や商品開発のスピード強化

  2. 経営資源の集中投下
     →採用マーケティングや人材DBへの直接投資が可能に

  3. 事業利益の一本化
     →本体のPLにダイレクト反映、ROE向上にも寄与

また、今後グループ内の他事業に対しても、同様の再集約・再編が広がる可能性がある。


【まとめ】

  • ツナググループHDが、人材・BPO事業を子会社から吸収分割で取得

  • 持株会社としての枠を超え、「稼ぐ本体」へとモデルチェンジ

  • 迅速な意思決定と経営効率化、PL直結の事業集約が目的

  • 人材業界の構造変化を背景に、攻めの事業再設計に踏み出す


🔍 編集部ワンポイント

中長期的には、本再編によりツナググループHDの営業利益率・ROICの改善が見込まれる。コールセンター領域のDX文脈とも交差し、「生成AI×人材」のポジショニングにも注目が集まる。